
食物アレルギーについて
こんなことで心配していませんか?

- 離乳食を始める前からアレルギーが心配で、検査を受けておいた方がよいのでは?
- 両親や兄弟に食物アレルギーがあるから、この子もアレルギーかもしれない…?
- 検査の数値だけを見て、食べ物をたくさん制限してしまっている…
- 除去するように言われたけれど、どのくらい食べたら、どんな症状が出るのか知りたい
- いつまで食事制限を続ければいいのか分からない…
- どのように安全に制限を解除していけばよいのか知りたい
食物アレルギーとは?
食物アレルギーとは、食べ物に含まれる成分に体の免疫が過敏に反応し、さまざまな症状が出る病気です。
症状は皮膚(じんましん、かゆみ、赤み)、呼吸(咳、ゼーゼー、息苦しさ)、消化器(吐き気、嘔吐、下痢)、口や目・鼻のかゆみなどに現れます。
ときには全身に強く症状が出て、アナフィラキシーと呼ばれる命に関わる反応を起こすこともあります。
なぜ食物アレルギーになるの?
最近の研究で、食べ物が口から入る前に皮膚から取り込まれること(経皮感作)が食物アレルギーの発症につながることが分かってきました。
特に、乳児期にアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が弱っているときにリスクが高まります。
そのため、乳児期からのスキンケア(保湿剤による皮膚の保護)、湿疹や皮膚炎をきちんと治療することが、食物アレルギーの予防につながると考えられています。
一方、腸管内にはアレルギーを抑える免疫細胞が多く、症状が出ない範囲で口から食物を摂り続けると、アレルギーを抑える免疫反応が増えて、治っていく(経口免疫寛容)と考えられています。
診断の流れ
問診
いつ、どんな食べ物をどのくらい食べて、どんな症状が出たかを詳しく伺います。
アレルギー検査
- 血液検査(特異的IgE抗体測定)…一度に複数の食物を検査でき、1週間ほどで結果が分かります。最近では、アレルゲンコンポーネント(食物に含まれるたんぱく質の中でも特にアレルギー症状に関与するタンパク質)を調べることができるようになり、検査の精度が高まりました。
- 皮膚プリックテスト…調べたい食べ物や花粉などを薄めた液を腕の皮膚に1滴たらし、専用の針で血が出ない程度に軽く押し当て、赤く腫れるかどうかを観察します。その場で15分ほどで判定できます
これらは「感作(アレルギー反応を起こす準備状態)」を調べる検査であり、アレルギー検査が陽性=症状が出る、というわけではありません。大事なのは、結果が陽性でも食べられるものがあることを知っておくことです。
食物経口負荷試験
医師が安全に管理できる環境で、実際に少量の食べ物を食べて反応を確認します。この試験は診断の決め手となるもっとも信頼できる方法ですが、症状が出る可能性もあるため、アレルギー検査の結果を踏まえて必要に応じて行います。
治療の方針
以前は「原因となる食べ物をすべて避ける」ことが基本でしたが、現在の食事療法の基本は、正しい診断に基づき「食べること」を目指した「必要最小限」の食品除去です。
過剰な制限は、栄養不足や生活の不便につながります。
一口でも危ないのか、それとも少量なら薬で対応できるのか、分かるだけでも心構えが変わりますよね。
当院では食物負荷試験などで原因食物の「食べられる範囲」を確認し、医師と相談しながら安全にその範囲を広げていくことを目指します。
軽い皮膚症状であれば抗アレルギー薬を、重い症状を起こしたことがあるお子さんにはエピペン(アドレナリン自己注射薬)を持っていただき、緊急時に備えます。
まとめ
食物アレルギーを診断するには、専門的な医学知識が必要です。小児アレルギー専門医による、医学的根拠に基づいた正しい診断(真の原因食品は何か、どの程度の制限が必要か)を受け、食物の除去を必要最小限とすることが大切です。
必要な情報提供と丁寧なサポートで、ご家族のご不安をできるだけ軽くし、笑顔が戻るようにお手伝いします。どうぞお気軽にご相談ください。