舌下免疫療法について
アレルギーを“根本から”治す、
新しい治療法
はじめに
毎年、花粉の季節や、ハウスダストによる鼻炎でつらい思いをしていませんか?
くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が続くと、睡眠や集中力にも影響してしまいます。
「薬で症状を抑えるだけでなく、根本から治したい」――そんな方におすすめなのが、舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)です。
舌下免疫療法とは?

アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を、毎日ごく少量ずつ体に取り入れて、時間をかけて体を慣らしていく治療法です。
アレルギーの原因に対して直接働きかけることで、体質そのものの改善を目指す「根本治療」です。
従来の飲み薬や点鼻薬は「症状を抑える」ことが目的でしたが、舌下免疫療法は、アレルギー反応を起こしにくい体質へと変えていくことが特徴です。
舌下免疫療法のメリット
- アレルギー症状が軽くなる
- 飲み薬や点鼻薬の使用量が減る
- 治療を続けることで再発しにくくなる
- 小児にも行える安全な治療(5歳から可能)
- 喘息の改善効果も期待できる
治療の流れ
舌下免疫療法は、安全に・確実に行うために、いくつかのステップを踏んで進めます。
診察・検査
まず、舌下免疫療法が行えるかどうかを判断するために、診察とアレルギー検査を行います。
- 血液検査の結果は約1週間後に確認できます。
- 指先から行う簡易検査(イムノキャップ ラピッド)なら当日に結果が分かります。
- 他院で検査を受けたことがある方は、結果をお持ちください。
治療説明
検査結果をもとに、舌下免疫療法が可能かどうかを説明します。
治療内容・効果・注意点をわかりやすくお話しし、同意書を記入いただきます。
そのうえで、治療開始日を決定します。
治療開始日(初回投与)
初回はクリニック内で薬を舌の下に入れ、約30分間、院内で経過観察します。
問題がなければ、その後はご自宅で服用を継続。
最初の1週間は少量(初期量)から始めて、体を慣らしていきます。
再来院
治療開始から1週間後に再診。
問題がなければ、2週目から維持量(標準量)に変更し、以後は同量を毎日続けます。
その後は月1回程度の通院で経過を確認します。
治療期間
舌下免疫療法は、3年以上の継続が目安です。
根気よく続けることで、アレルギー症状が軽くなり、再発しにくい体質を目指せます。
よくある質問 Q&A
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効果はどのくらいで出ますか? 
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スギ花粉症は、翌年のシーズンから効果が期待されます。 
 ダニアレルギーは、治療開始後、2~3ヶ月目から効果が期待できます。
 研究では、およそ8割の方に効果があるとされていますが、残念ながらすべての方に有効とは限りません。
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副作用はありますか? 
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舌の下のかゆみ・口の中の腫れ・違和感などがみられることがありますが、ほとんどは軽度で自然におさまります。 
 ただし、まれに全身のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすこともあるため、初回投与は必ず院内で行い、安全を確認してからご自宅での治療を開始します。
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どんな人でも受けられますか? 
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ぜんそくが強い方、重い心臓病のある方、妊娠中の方などは行えない場合があります。診察時に、体調や持病について詳しく確認させていただきます。 
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いつ始めるのが良いですか? 
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スギ花粉の場合は、花粉が飛んでいない時期(6〜11月頃)に始めるのがおすすめです。 
 ダニアレルギーは、一年を通していつでも始められます。
まとめ
舌下免疫療法は、すぐに効果が出る治療ではありませんが、続けることで薬に頼らない生活を目指すことができます。
長年アレルギーでお悩みの方、お子さんの将来のために体質を改善したい方も、どうぞお気軽にご相談ください。
